介護報酬改定説明会
03月24日
介護保険は3年ごとに介護報酬(皆さんがお支払いになる介護保険の利用料算定の根拠となる数字)の改定があることは以前にこのブログでもお伝えしたとおりですが、本年4月がその改定の時期に当たっており、その説明会が3/22.23に京都国際会館にて行われました。この説明会は3年ごとの改定のたびに行われているものですが、写真のとおり、これまでになくものすごい数の人が来ていました。定員1840名の大会議室に入りきらないくらいの人で通路にも人が溢れ、避難所のように地べたに座っているという状態でした。恐らくロート製薬の鳩よりもたくさんの人がいたことでしょう。
話の内容は表題のとおり介護報酬の変更点についてなのですが、介護報酬の単位数については既に出されているので、今回はその算定にあたっての細かい条件や考え方について3時間かけてこってりと説明がありました。中身は大体は予測はついていたのですが、介護保険事業者にとっては手痛いマイナス改定です。また、利用される皆さんにとっても保険料が上がったり、高所得の方は2割負担になったりなどあまり良い話はありません。
今回の説明会に限らず、介護保険の改正に伴う説明会などでは最後の締めの言葉に「高齢化の進展で介護保険料の高騰は避けられない、制度の持続可能性を高めるために、サービスの重点化と効率化が進んでいきますので、それに対応できる戦略を立てましょう」そして「マイナス改定を乗り切るにはしっかり質の高いサービスを提供して、加算を取得しましょう」もしくは「稼働率を上げてマイナス分を埋めましょう」と続きます。でも、そんなにがんばったらまた保険料上るやん。これってトートロジーとちゃうの?と考えてしまい なんだかこの制度の先行きに不安が爆発です。
振り返れば競争原理の働かない措置の時代から介護保険法が施行され、公定価格の決まった「準市場主義」に移行してきた訳ですが、確かに事業者間の競争によりこの20年でサービスの質、量、従業者の質、量ともに向上したことは間違いない事実でしょう。しかし、改定の度に報酬の算定要件は厳しくなり、さらに今回どーんと報酬が下げられ、どの事業所も青息吐息です。特に集客力の低い小規模の事業所は息も絶え絶えといった状態です。過度な新自由主義への傾斜は働く側にも利用する側にも緊張を生みだし、本来の福祉というものの在り様や、もっと言えば介護保険法の成立に寄せられた社会的要請からも年々乖離していっているような気がします。福祉というあまり競争原理の馴染まないものに過度な競争を強いることの違和感を社会全体が感じ始めているのではないでしょうか。この社会の防衛機能をソーシャルプロテクション(社会的防御)というらしいのですが、時代の大きなうねりの中でこのソーシャルプロテクションが高まりつつあるようなそんな気がした介護報酬改定前夜でした。